耐震基準と建築基準法【不動産用語】

生活お役立ち情報

2024年は1日から地震による甚大な災害がありました。

災害の中でも地震はいつ発生するかわからず、事前に避難することができません。

耐震性能の低い建物だと倒壊する危険があり、実際大きな被害を受けています。

建築基準法の耐震と耐震等級について解説しますので、住宅購入の際の参考になればと思います。

実は色々ある耐震基準

建築基準法の耐震基準ですが一言で言うと「どれだけ地震に耐えれるかの性能」です。

新たに住宅を建てる場合、耐震基準を満たさないと建築できません。

この耐震基準ですが、年代と共に変化しています。

旧耐震

旧耐震は震度5の地震でも倒壊しない程度の性能とされ、震度6以上の地震に関しては基準がありません。

つまり震度6以上の地震では倒壊する可能性があり、実際過去の地震でも大きな被害が出ています。

更に倒壊しない程度の基準なので、震度5で倒壊は免れても居住不可能レベルの損害を受ける可能性があります。

新耐震

建築基準法の改正により、1981年(6月1日)以降の建物は新耐震と呼ばれています。

非常に大きな改正だったので、一般的にここで新耐震と旧耐震を区切って伝えられる事が多いです。

震度6~7程度の地震でも倒壊しない耐震性を求められます。

2000年基準

阪神淡路大震災をきっかけに作られた、より厳しい耐震基準です。

建物のより高い耐震性能はもちろん、地盤調査の規定なども追加されました。

実際どれほど違うのか

能登半島地震はまだ被害状況が明らかではありませんので、2016年の熊本地震の被害のデータです。

旧耐震新耐震2000年基準
被害なし5.1%(39棟)20.4%(179棟)61.4%(196棟)
軽微~中破49.1%(373棟)61.2%(537棟)32.6%(104棟)
大破~崩壊45.7%(347棟)18.4%(161棟)6%(19棟)
国土交通省住宅室資料より

色々な条件があるので簡単に比較はできませんが、それでも大幅な差がでています。

古い物件はどうすれば良いのか?

旧耐震の建物が全て危険なのかと言えばそうとも限りません。

建物の個体差が大きく、古くても耐震基準を満たすような優れた建物は存在します。

また、大切に使われたお家は適切に管理されているので寿命も長くなります。

耐震診断の実施

建築士による耐震診断を受ける事ができます。

かなり専門性の高い検査ですので、対応できる建築士は限られてはいます。

費用は規模や状態により様々ですが、自治体によりある程度補助が出る可能性が高いです。

ただ耐震性能がわかるだけなので、解決している訳ではありません。

耐震補強工事

耐震に不安がある場合、耐震補強工事は選択肢の一つです。

問題は費用で状況によりバラバラなので、ケースバイケースですがかなりの金額にはなります。

ローコストの住宅が新築できるぐらいの金額になる事もたびたびあります。

耐震補強工事も補助が出る自治体が多いので、確認すると良いと思います。

ちなみに中古住宅を購入して大規模リノベーションする場合、同時に施工する場合も多いです。

耐震の低い建物はリスクがあります

耐震性能の低い建物は、地震で倒壊する可能性があります。

安くはないですが、耐震シェルターやベッドなども販売されています。

購入に補助金の出る自治体もあるので、相談してみたください。

中古住宅を購入する場合

住宅性能評価書などがあればよいですが古い物件だとまずありませんし、多くの物件が耐震診断を受けた実績もほとんど無いと思われます。

中古住宅購入の際は購入前に売り主に耐震診断をして良いかを伝え、可能なら耐震診断をしてください。

耐震診断以外にもホームインスペクションと呼ばれる制度があり、専門家に事前に建物の状態を確認してもらえます。

※事前に売り主がインスペクションを行っているケースもあります。物件の信頼度が上がり売りやすくなるからです。

費用が買主負担になる場合でも、安全の為インスペクションや耐震診断はしておくべきです。

もし事前のインスペクションや耐震診断を断られた場合、購入をあきらめるのも選択肢の一つです(私なら買いません)。

耐震等級とは

簡単に言うと地震に対する強さをしめした値です。

耐震等級は住宅性能表示制度として2000年に制定されたもので、2000年以前に建てられた住居には耐震等級が存在しません。

2000年に制定されたので等級1でも最低限新耐震(2000年)以上の性能はあり、2や3はそれ以上の性能を持っている事になります。

耐震等級1

現行建築基準法の最低限の基準をクリアしている性能です。

耐震基準をクリアしないとそもそも建築ができないので、2000年以降の建物は評価が無くても耐震等級1相当の性能はあると考えられます。

2000年基準では震度6強から7程度=阪神・淡路大震災クラスの揺れにも倒壊しない性能が求められます。

ただ倒壊しない性能なので、ある程度の被害はある想定となっています。

一言で言うと「すぐに潰れはしないけど修繕する必要はあるかも」となります。

耐震等級2

1の1.25倍の水準と言われています。

長期優良住宅の認定を受けるには耐震等級2以上が必要となります。

また災害時の避難所として指定される公共施設は、耐震等級2以上の性能が必須です。

逆を言えば避難所として指定できるぐらい安心な強度と言えます。

耐震等級3

非常に高い強度で等級1の1.5倍相当の性能です。

熊本地震でも等級3の倒壊は1件もありませんでした。

耐震等級は任意の制度です

制度自体は義務付けられているものではなく、任意で評価を受け評価書を発行してもらうものです。

費用もかかりますし、高い耐震等級を得るには間取りなども制限されます。

ですので建売住宅などでは、コストを抑える為にそもそも評価をしてもらってない建物もあります。

建物の建築時には建築基準法を遵守していれば建築許可が下りるため、耐震等級そのものは受ける必要がないからです。

特に地震の少ない地域だと、そもそも耐震意識自体が低いので軽視されています。

耐震等級が高い建物だと地震保険が安くなったり、ローン金利が下がるメリットがあります。

大切なのは命です

耐震性能が高くても重要なのはいかに命を守るのかです。

災害時はパニックになりますし、そもそも地震で揺れが激しいと歩くことさえままなりません。

事前に家具の固定や、避難動線の確認など可能な限りの対策をしてください。

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